酸素血色素解離曲線の臨床的意義にかんする研究
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概要
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概要正常例,鉄欠乏性貧血,心筋硬塞,再生不良性貧血の赤血球に対する酸素親和性の相異を,酸素解離曲線およびP60O2をもつて,比較研究し,いくつかの興味ある成績を得た.鉄欠乏性貧血と心筋硬塞とでは,酸素分圧の比較的低い部分では,正常例に比べて,酸素親和性の低下がみられ,酸素解離曲線は正常曲線の右方へ転移し,再生不良性貧血では,酸素分圧の範囲にかかわらず,ほとんどの例で酸素親和性の増加すること,すなわち,解離曲線の左方へ移動することを確かめた,さらに,これらの成績について,その臨床的意義と変化の本質について,検討を加えた.すなわち,鉄欠乏性貧血と心筋硬塞に見られた変化は,貧血状態の生体にとつて有利な変化であることを知り,また,再生不良性貧血においては,胎児ヘモグロビンの増加を証明し,その酸素親和性の変化の一因と推定した.