G型骨髄腫の1例
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概要
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57才,男.腰痛と蛋白尿で入院.血清蛋白13.8g/dl,γ-gl 51.3%で幅狭い鋭峯を呈す.免疫電気泳動でIgGにM-bowを形成.免疫拡散法によるIg値はIgG10, 600mg/dl, IgA14mg/dl, IgM9mg/dl,IgDOmg/dl.X線像で頭蓋骨などに無数の打ち抜き像,胸腰椎に圧迫骨折.骨髄像では異型の形質細胞が77.6%を占める.尿蛋白にはアルブミンなどの他に血清と同じM-蛋白とB-J蛋白を認めた.以上よりG型骨髄腫(L鎖はL型)と診断.本例のM-蛋白は56°C90分でゲル状の凝固を示し,INの塩酸,硫酸によつて同じくゲル化した.しかし硝酸によつてはゲル化せず,燐酸によつても変化をうけなかつた.56°Cで凝固したM-蛋白はリウマチ因子とよく反応した.以上より本例のM-蛋白は従来報告された定型的のpyroglobulinとはやや異なる点もあるが,やはりpyroglobulinに属するものと思われる.このM-蛋白は抗原性において通常のIgGと区別しえなかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文