心血行動態と心筋代謝(主として左心を負荷される心疾患について)
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概要
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心筋代謝を観察する方法は種々あるが,血行動態との関連についてみた報告は少ない.そこで,弁膜症および先天性心疾患の中で主として左心を負荷される症例につき,安静時心臓カテーテルおよび冠静脈洞カテーテル法を施行し,血行動態ならびにそれらと心筋酸素代謝,心筋糖質代謝,脂質代謝などとの関係につき検討を加えた.NYHAの機能分類I・II度群とIII・IV度群で一回拍出量と酸素脈(O2/pulse)の間におのおの正相関関係が得られ,両者の回帰直線には有意差を認めた. pressure time per minute (PTM)に対する心筋酸素摂取率の関係は高血圧・冠硬化性心疾患と逆流,シヤントのある群とでは態度が異なることを認めた.心筋エネルギー代謝にかんしては心仕事増大する際脂質の燃焼増加が関与し,心不全が進行すると左室心筋に脂質利用障害が起き,代謝相は脂質利用から糖質利用に傾くことが推察された.
- 社団法人 日本内科学会の論文