血小板粘着能にかんする研究 : 冠動脈硬化症における食後脂血症における血小板粘着能の病態生理的意義
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概要
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脂肪食後に血液凝固亢進状態が起こることはすでに知られている.著者は,その際の血小板粘着能の病態生理的意義を明らかにするために,冠動脈硬化症患者に生クリーム200gを摂取させ,その食後脂血症における血小板粘着率を測定し,対照群は食後1時間に最高値を示し以後減少する型(A型)と,食後2時間に最高値を示し以後減少する型(B型),疾患群はA型に類似するが, 4時間に再び増加する型(I型), B型に似るが4時間には高い値を示す型(II型), 4時間に最高値を示す型(III型)に分類した.同時に測定したODから,疾患群, I, II, III型の順に食後脂血処理能の低下が明らかとなつた.さらにカルシウム再加凝固時間は短縮し,フィブリノーゲン量は高く,線溶能低下も認めた,食後脂血症の血液凝固亢進状態と相働いて,血小板の生理的機能である粘着能が,血栓形成の準備状態をつくり出すと推測した.
- 社団法人 日本内科学会の論文