脾腫患者の肝微細構造にかんする研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脾腫を原因とする造血障害は大別して2群に分かれる.この造血障害の差は,脾腫の程度とは関連せず,脾臓病変そのものの差異を原因とするものと思われる.著者はその点を究明する目的で, 2群の脾腫患者につき,脾臓と密接な関係があるとみられる肝臓の微細構造を検索し,比較検討した.検査資料は生検によりえ,電子顕微鏡的および病理組織学的に検査した.その結果両群患者間に明らかな差異が認められた.すなわち色素指数の低下しない群(A群)では小胞体,特に粗面小胞体の増加傾向が認められ,低色性貧血群(B群)では核の不正形がみられ,粗面小胞体の増加は認められない.糸粒体は両群ともに異形化が著しい.両群の最も特異的な差異はDisse腔の膠原線維に認められ, A群では増加が明らかであるが, B群では脾腫高度の例にも増加が証明せられない.
- 社団法人 日本内科学会の論文