糖尿病患者の血液脂質についての臨床的検討
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概要
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糖尿病時の脂質代謝異常にかんする報告は数多いが,その多くは脂質分画値の増減を中心としたものが大部分であり,血清脂肪酸組成の画からの研究はまだ充分でなく相反する報告のある現状である.著者は糖尿病患者275例の血清脂質分画値および血清脂肪酸組成を健常者256例と年令別,性別に比較し,また血糖値の高低,コントロールの良否,網膜症の有無等の観点よりの比較検討を試みた.血清脂質分画値は糖尿病患者では健常者より高く,また血糖値の高いものほど,コントロール不良のものほど高い傾向がみられた.血清脂肪酸組成では糖尿病患者においては健常者に比し,パルミトオレイン酸,ステアリン酸,オレイン酸比率は有意に減少し,リノール酸は有意に高値を示したが,血糖値の高低,コントロールの良否および網膜症の有無等については有意の差は認められなかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文