腎性尿崩症 同一家系の2例
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概要
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腎性尿崩症の兄弟2名につき検索を加えた.兄弟ともに生下時より多飲,多尿があらわれ,水制限により発熱痙攣を経験している.尿量は8〜14l/dayでpitressin tannate in oil 5u筋注により尿量の減少,尿浸透圧の上昇はみられず,自由水クリアランスは常に正を示した.水制限試験, 2.5%NaCl液負荷試験(Hicky-Hares test)にも反応はみられなかつた.症例1において過剩水分負荷特の血漿ADH値は測定限界を下まわつたが, 2.5%NaCl液500ml点滴負荷終了30分後のADH値は1.9μμu/mlで,血液の浸透圧上昇に反応して,下垂体後葉よりADH放出がみられたものと考えられる.この例では経静脈性腎盂撮影法により両側尿路の拡張が証明されたが,尿路通過障害はみとめられなかつた.膀胱には残尿があり尿カテーテル挿入で, しばしば尿路感染を招いた. chromosomeおよび尿量の日内変動は正常で,遺伝素因は母親の家系にみられた。一般にcortisolおよびDOCAの作用部位はそれぞれHenle上行脚および遠位尿細管であると考えられており,また腎性尿崩症はdistal tubular disordersに属するので,本症でのcortisolおよびDOCAの作用をみるのは興味がある.症例2に, cortisolおよびDOCAをそれぞれ別の日に投与して, Na再吸収作用をみた.尿中Na排泄量は時間が経過するにつれ減少した.しかしBlomの式により計算された遠位尿細管へのNa流入量は増加しているので,本症例ではcortisolおよびDOCAともに,遠位尿細管でNaの再吸収を促進していると考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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林 俊之
北海道大学医学部循環器内科
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東 徹
北海道大学
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安達 昌昭
北海道大学真下内科
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沢野 真二
北海道大学医学部真下内科
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田中 一志
北海道大学医学部真下内科
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東 徹
北海道大学医学部真下内科
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安達 昌昭
北海道大学医学部真下内科
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