大動脈炎症候群の成因にかんする免疫学的研究(1)補体結合反応および沈降反応
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概要
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補体結合反応,沈降反応を用いて大動脈炎症候群における抗大動脈抗体の検出を試みた.補体結合反応では,疾患別には,陽性率が本症候群で23例中17例(73.9%)ともつとも高く,抗体価も本症候群では, 1:20以上が23例中12(52.1%)と高い例が多かつた.本症候群での抗体価は,初回検査時の成績のみをとると,自覚症状(閉塞症状)の程度との間に若干の相関が得られ,一方,各症例の経時的変化をみると,抗体価の変動は自覚症状,発熱,検査所見,ステロイド治療の有無と,かなりの相関を示した.また抗大動脈抗体は抗末梢動脈抗体・抗心抗体・抗腎抗体とは異なつたものであると考えられた.さらに,抗原としてヒト・イヌいずれの大動脈を用いても同様の成績が得られ,この反応に関与する大動脈抗原には,種特異性が認められなかつた.沈降反応は大動脈炎症候群9例をふくむ19例の諸種疾患全例で陰性であつた.以上の所見について若干考察した.
- 社団法人 日本内科学会の論文