静脈圧の臨床的研究
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概要
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臨床上浮腫を認めた場合,その浮腫が心性か非心性浮腫かの鑑別の目的で被検者の両下肢を他動的に挙上し,その前後における肘静脈圧の変動を測定した.圧の上昇程度により1〜5型に分類し,肘静脈圧上昇が40mmH2O以下の1, 2型は正常者や非心性浮腫患者に多く,圧上昇が40mmH2O以上の3, 4型は浮腫を有する心不全患者に多くみられた.次に,両下肢挙上による肘静脈圧上昇機序を考察した.両下肢を挙上すると下肢からの血液が胸腔内血管床へ移動し,下空静脈の右心房入口附近に存在する低圧系の圧または伸展受容体を刺激し,それにより副交感神経反射路を介して肘静脈領域に刺激を送り,肘静脈領域の血管抵抗を高め,肘静脈圧を上昇させるものと考えた,しかし,肘静脈圧上昇は神経反射機構以外の条件,すなわち,血行力学的要因の関与によつても支配されていることも知つた.
- 社団法人 日本内科学会の論文