無線搬送による運動負荷心音図法の研究とくにQ-IIA時間の変動について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
心音図の無線搬送装置を開発し運動負荷試験を行なつた. 2素子小型送信器(重量600g)により主搬送波40.68Mc副搬送波心電図用3kc心音図用7kcを使用した.マイクロホンは電磁型を主として使用した(直径30mm重量50g).症例は健常人26例を含む256例で肝,腎,糖尿病等の心疾患以外の代謝障害疾患を主とした. 運動負荷による頻脈時, Q-IIA時間はQ-T時間とともに変化する.この比Q-IIA/QTすなわちSystole Quotient (SQ)の回復過程を経時的に観察すると,その推移の型によりAA型(正常型)およびBCD型(異常型)の5型に分類しえた.また同一症例で病状の改善とともにSQの回復もまた良好となるのが認められた. SQ推移正常型AAに比し異常型BCDに10倍の死亡例が含まれ,また剖検例につき心筋の組織学的な変化と対比すると, SQ推移異常型に退行性変化の強いものが含まれる傾向にあつた. SQ推移異常型について見ると同時誘導した負荷心電図所見との対応は少なかつた.心電図は虚血性変化の発見にきわめて有力であるのに対し,本方法は心筋の代謝障害による血行動態の破綻を発見する有力な手段になると考えられる.