ガスクロマトグラフィーによる腎疾患における尿脂酸にかんする研究
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概要
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ネフローゼ症候群の患者で, 高脂質血症が起こることは, 良く知られている. しかし, 脂質尿については定説がない. そこで著者はこれについて研究した. 1) 正常人の尿総脂酸量は238-1441γ/24時間. 尿脂酸構成ではリノール酸とアラキドン酸が血清より少なかつた. 2) 腎炎患者では正常人と類似した結果であつた. 3) ネフローゼ症候群患者では尿総脂酸量は1320-6044γ/24時間. 尿脂酸構成ではリノール酸が多かつた. 副腎皮質ホルモン投与により, これらの変化は正常に近づいた. 4) 腎障害を伴なう糖尿病患者では, 尿総脂酸量は471-2856γ/24時間. 尿脂酸構成ではリノール酸が多かつた. 5) 動物実験にても, 人間と比較的類似した結果を得た. また臓器総脂酸量は著減した. 以上の結果より, ネフローゼ症候群における腎の脂質排泄障害の存在と, 動員性により高脂質血症が起こると考えられた.
- 社団法人 日本内科学会の論文