ジャワマングース Herpestes javanicus 腕神経叢の比較形態 : 特に肩甲上神経の背腹の位置付けについて
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概要
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本研究では,ジャワマングース(Herpestes javanicus)4体5側を対象として,これまで報告がなされていない腕神経叢の形態を報告するとともに,肩甲上神経が腕神経叢の背腹どちらの層に属するかを検討した.その結果,ジャワマングースでは1)腕神経叢は第5頚神経(C5)から第1胸神経(T1)までで構成されていたが,C5 と C6 は細い交通枝で吻合しているのみであり,その主部は C7 から T1 であった,2)棘上筋は肩甲骨の外側(背側)面のみならず全例で内側(腹側)までせり出していた,3)そのうち2例では起始部が肩甲下窩の頭側部まで拡大していた,4)棘上筋,棘下筋を支配する肩甲上神経は C6 の中央部から起始していた.このことから肩甲上神経は背腹両方の層を含むような境界の神経である.ヒトではジャワマングースより肩甲骨が背側下方へ位置することや複雑な腕神経叢の形態などから,腕神経叢の中で肩甲上神経が背腹どちらの層へ属するのかという問題への理解が難しかった.しかし,この結果をヒトと比較したところ,相対的な背腹成分量の差はあるもののヒト肩甲上神経でも同様に背腹両方の層を含むことが考えられる.
- 日本哺乳類学会の論文
- 2004-06-30
著者
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佐々木 宏
東京女子医科大学解剖学
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川島 友和
東京女子医科大学解剖学
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川島 友和
東京女子医科大学
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吉冨 早香
東京女子医科大学医学部解剖学教室
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佐々木 宏
東京女子医科大学 医学部解剖学
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吉冨 早香
東京女子医科大学医学部
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佐々木 宏
東京女子医大 解剖
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