正常分娩直後に肺転移を起こした悪性絨毛上皮腫
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概要
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絨毛上皮腫は胞状鬼胎に続発することが多く,流産後がこれにつぎ正規産後の発生はもつとも少ない.ことに正常産直後の発生を報告した論文はまれである.本例は34才の主婦であるが妊娠の経過中異常を認めず,女児を正常分娩した後, 23日目に突然38°Cの発熱,呼吸困難,胸痛,血痰が出現した.両側中下肺野に水泡性ラ音を聴取し,胸部X線像上境界の不鮮明な細葉大陰影が全肺野に散在し,一部で癒合していた.子宮は超手挙大,淡赤色の帯下を認めたが分娩直後であったため,子宮復古不全として重視されなかつた.割検により子宮絨毛上皮腫および肺,肝,膵などへの広範な転移が発見された.絨毛上皮腫が時に原発巣よりの症状に乏しく,呼吸器症状のみを呈することのあるのを指摘し,その臨床症状,胸部X線所見の特徴につき考察した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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五味 二郎
慶応大学医学部三方内科
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吉沢 繁男
慶応大学医学部三方内科
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藤井 玻〓
慶応大学医学部三方内科
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市川 陽一
慶応大学医学部三方内科
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名越 秀樹
慶応大学医学部三方内科
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亀谷 徹
慶応大学医学部病理学教室