Basedow病の甲状腺刺激物質にかんする研究
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概要
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Basedow病患者血中にLATSが発見され,病因究明上注目されている. LATSとTSHの差異にかんして,抗ウシTSH血清による中和の問題には異論がある.著者は抗牛ならびに抗ヒトTSH血清を作成,それぞれのウシならびにヒトTSHの中和価を測定,抗ウシTSH血清はウシTSHを,抗ヒトTSH血清はヒトTSHをよりよく中和することを確認した.抗ヒトTSH血清によりLATS活性は全然中和されなかつた. Basedow病剖検例下垂体TSH活性のbioassayの時間反応曲線は諸家の報告の如く正常TSH型を示した.死亡時hyperthyroid状態の3例では,下垂体TSH活性含有量は対照例のそれに比し著しく低値を示し,抗TSH血清により全然中和されなかつた.死亡時euthyroidの1例では,抗血清により部分的に中利され,正常TSHの混在を示した.すなわち, Basedow病患者下垂体にTSHともLATSとも異る甲状腺刺激物質の存在することを明らかにした.
- 社団法人 日本内科学会の論文