肺高血圧症における肺動脈幹の研究とくに中膜の弾力線維の態度について
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概要
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種々の疾患を原因とする肺高血圧症において,肺動脈幹の組織学的検索を行なつた.特に,肺動脈幹中膜の弾力線維の形状配列について, Heath (1959年)およびSalda〓a (1963年)らの分類に従い,弾力線維の太さ,密度,連続性,平行性より,大動脈型(胎児型),遺残型,移行型A, B,成人型の5型に分け,肺高血圧の重症度との関連性を考察した.その結果,重症の後天性肺高血圧症において,太く長い線維が密に配列するところの大動脈型あるいは遺残型を認め,この所見は,弾力線維が成人型に移行した後は,弾力線維の形状配列は変化しないというHeathらの説とは異なり,僧帽弁狭窄症において,弾力線維の増生を認めたMeyerの説と一致した.すなわち,後天性肺高血圧症では長期に持続する肺高血圧に抵抗して,弾力線維の増生が起こるだけでなく, “新生”さえも起こり得ることを暗示し,従来否定的な意見が多いところの弾力線維の“新生”にかんして,一つの問題を提起すると思われた.
- 社団法人 日本内科学会の論文