内科疾患における酵素学的研究血清LDH isozymeを中心として
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概要
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新鮮心筋硬塞,急性肝炎ではおのおの特徴的なLDH isozyme (LDHi)のpatternが知られているが,その他の疾患では未知の分野も少なくない.著者はLDHiの診断的意義を解明する目的で諸内科疾患144例について血清LDH, HBD活性, LDHiを観察した.新鮮心筋硬塞6例ではLDH, HBD, LDHiは在来の知見と一致したが, LDHiでI分画がII分画より大きいpatternは,このほか陳旧性心筋硬塞,高血圧動脈硬化症,狭心症,うつ血性心不全,慢性肝疾患,悪性腫瘍などの症例でも証明された.急性肝炎7例ではLDH, HBD, LDHiは在来の知見と一致,類似のpatternは悪性腫瘍など3例にみられたにすぎない. LDHiのIII分画ないしIIIおよびIV分画が正常より高値を示した症例は悪性腫瘍,肺感染症,腎炎,白血病などに証明された.従つて,新鮮心筋硬塞のLDHi patternは急性肝炎に比し特異性に乏しい如く考察される,その他のpatternについては疾病の特異性には乏しく,病態生理学的意義を除くと結論はえられなかつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文