Fanconi症候群の1例
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概要
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先天的腎尿細管再吸収障害または後天的腎炎疾患により,腎性糖尿,蛋白尿,アミノ酸尿,骨軟化症,血清Ca, P低下などの症状を呈するFanconi症候群成人型は今日まで31例報告されているが,本邦においては僅かに1例報告されているに過ぎない。われわれは潜在していたと思われる腎尿細管機能異常が腎切験後の吸収乃至代謝障害が加わることにより急激に顕症化したと考えられるFanconi症候群成人型の1例を報告する.患者は47オの男で,蛋白尿と,糖尿を指摘されていたが,十二指腸潰瘍で胃切除を受けた.術後全身倦怠感,下肢の脱力感および関節痛による歩行障害が現われ,漸次増強し入院.腎性糖尿,蛋白尿,アミノ酸尿,血清P, Ca低下, Cl増加,尿中電解質排泄増加,動脈血CO2含量減少,アルカリフォスファターゼ(al-P-ase)上昇,骨粗鬆化が認められた.腎生検ではswan neckはみられなかつたが,先天的疾患の存在を推測させた.蛋白同化ホルモン,ビタミンD,睡液腺ホルモンを投に与したところ症状および各種代謝障害がある程度改善され,半治退院した.
- 社団法人 日本内科学会の論文