冠硬化症にかんする研究とくに低酸素および運動負荷におけるヒトの肺,冠循環動態について
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概要
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冠硬化症25例に対して冠状静脈洞カテーテル法を行ない,同時に肺動脈本幹にカテーテルを挿入し,低酸素および運動負荷の冠,肺循環動態におよぼす影響について検討した。安静時の冠,肺循環諸量は健常人,冠硬化症との間に,とくに著しい相違がなかった.低酸素負荷で冠動静脈血酸素較差の減少,冠血流量の増加,心筋酸素消費量の増加傾向,運動負荷で冠血流量,心拍出量,心筋酸素消費量,肺静動脈血酸素較差の増加などがみられたが,冠硬化症ではこれらの傾向を示さないものがあつた.健常人では負荷でも冠血流量と心筋酸素消費量が正相関,冠静脈血酸素分圧と心筋酸消費量,心筋酸素摂取率が逆相関を示したが,冠硬化症では,負荷でこの関係のくずれるものがあった.負荷で平均肺循環時間が不変または短縮した群と延長した群にわけると,延長したのはすべて冠硬化症で,このことから冠硬化症は左心不全の準備状態であると考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文