リウマチ性心疾患におけるタンニン酸赤血球凝集反応による溶連菌型特異抗体の研究第1編 : 基礎的検討
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概要
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リウマチ性心疾患と溶連菌感染が密接な因果関係にあることは,各方面より実証されているが,なお,不明な点が多い.そこで著者は,溶連菌型特異抗体の面より,これを検討しようと試みた. A群β溶連菌は感染防禦に関与するといわれる蛋白質性のM抗原と呼ばれる型特異的な物質によつて分類されている.したがつて, M抗原に基づく菌型の分類は,人体の溶連菌感染症における免疫,ひいては,疫学においても有意義なものであると考えられる.このため, M抗原を使用して種々の方法が試みられているが, Bactericidal testを除いては特異性に乏しい.また,その方法の実施は臨床家にとつて,必ずしも容易でない.ここにおいて,著者はBoydenの感作タンニン酸赤血球凝集反応の改良法(熊谷)を,初めて溶連菌感染症に応用し,菌液による吸収試験,抗原液による抑制反応, Bactericidal testとの比較,抗原のトリプシン処置等種々の方法で型特異性を証明し,本法が患者血清中の型特異抗体の研究に用いうることを示した.
- 社団法人 日本内科学会の論文