肺胞気-動脈血酸素分圧較差にかんする研究室内気吸入時および高濃度酸素吸入時の肺胞気-動脈血酸素分圧較差について
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概要
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健常者10例,肺疾患例など27例,計37例について,室内気吸入時、および,60%O2吸入時の肺胞気一動脈血O2分圧較差を測定し, CO拡散能力,とくに、膜拡散能力との関係を中心に肺胞機能を検討した.肺胞気-動脈血O2分圧較差は,全症例で,高濃度O2吸入時には,室内気吸入時よりも増大がみとめられた.肺疾患例では,健常例に比して,肺胞気,動脈血O2分圧較差は大であり,ことに肺内ガス分布障害を示す症例では,高濃度O2吸入時に,その増大が著明であつた.肺胞気-動脈血O2分圧較差と肺のガス拡散能力との関係は明らかでなかつた.また,室内気吸入時は、肺胞気-動脈血O2分圧較差と膜拡散能力の間に,逆相関関係がみとめられたが, 60%O2吸入時には,この関係は明らかでなくなつた.このように,高濃度O2吸入時の肺胞気-動脈血O2分圧較差の著しい増大は,ガス分布障害,換気血流分布の不均等によるものと考えられ,拡散障害とは,一義的な相関関係はみとめられない.しかし, 2種の異なるO2濃度のガス吸入時における肺胞気-動脈血O2分圧較差と膜拡散能力の組合わせにより,真の意味の膜拡散障害を規定することが出来よう.