神経症の下垂体副腎皮質機能および自律神経機能にかんする研究
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概要
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下垂体副腎皮質機能の中枢性調節研究の一環として,神経症での情動の変動と該系機能との関連を血中,尿中17-OHCSを指標として検索した。有愁訴時には血中遊離型17-OHCS値は高値で,日差変動,日内変動も乱れ,かつ高いレベルで変動している.一方,尿中総17-OHCS排灘量は低値で,血中値との間に解離を認めた.この解離はhydrocortisone負荷試験や,血中,尿中遊離型およびグルクロン酸抱合型17-OHCSの態度から過分泌された副腎皮質ホルモンが,異常代謝路を経て代謝されるために起こると推定された.これらの異常はchlordiazepoxideの併用療法で愁訴が消失すると正常となつた.同時にmecholyl試験により自律神経機能をうかがい,下垂体副腎皮質機能と同様,情動と共に著明に変動していることを知つた.ここに情動に伴つて起こる生体反応の側面を,内分泌,自律神経の両面から観察し,心身相関の問題にも具体的な可能性を与える成績を得た.