肺空洞の病態生理にかんする研究 : とくに空洞内ガス組成の動態にかんする臨床的ならびに実験的研究
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概要
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営時,呼吸運動その他の動態下にある生体内空洞の実態を解明する研究の一環として,各種の臨床・実験空洞(結核•化膿症•candida症)について,そのガス組成分析の立場より,種々検索した.空洞内ガスは, N2量がほゞ一定であるので, CO2量かO2量の一つの消長からその組成を窺知しうる.すなわち, CO2量を基準とすると,空洞内のそれは,呼吸によって刻々変動し,とくに,呼気時増加例と逆に吸気時増加例の2型と呼吸による無変動例との3型があり,その様相は各種空洞間で,また,空洞の経過で差異がみられた.空洞内ガス組成に影響を与えるものには,上述の呼吸運動のほか,肺循環障害,空洞の経過,形態(整•不整,房数,大小),洞壁,空洞内圧,洞周囲病型および,誘導気管支の状態等の諸因子があるが,とくに,洞周囲病型との関係は密接であることなどを知りえた.このように,空洞内ガス組成は極めて複雜な諸現象で規定されるもので,単純ではなく,従來,全く明うかにされていなかった.また,これらは空洞の運命(冶癒ないし悪化機構)にも不離不即の関係を有しうることなどを実証,あるいは推論した.
- 社団法人 日本内科学会の論文