ポーラログラフ法応用による心筋内酸素濃度の変動について
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概要
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心筋内の酸素濃度の変動をポーラログラフ法により吟味し,心筋内酸素濃度に影響を及ぼす種種の因子を観察した.次いで急性の冠動脈閉塞および狭窄時の変化を比較的長時間にわたり観察し,それと心電曲線との関係にっき論じた.正常時の心筋内酸素濃度は血圧と正の相関を示し,血圧がStaub-Hering波を示す場合もこれと同周期の変動を示した.冠動脈閉塞時,その示す態度により硬塞領域を中心部,境界部,外側部に分けられる.さらに経過を長く観察すると,閉塞中一過性に心筋酸素濃度のゆるやかな上昇を認めた.また硬塞中心部にても時間の経過と共に,比較的速かに側副血行より代償性に血流が流れ始める.心筋内酸素濃度と心電曲線の関係については,冠狭窄時心筋酸素濃度が30〜40%に下降して,心電曲線変化と一致した変化を示すのに対し,冠閉塞時には心筋内酸素濃度が60%に下降して心電曲線の変化を起こす.このことから,虚血による二次的に起こる代謝性変化が心電曲線に異常を起こすものと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文