ガスクロマトグラフィーによる動脈硬化症の研究 非エステル型脂酸について
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概要
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動脈硬化症と脂酸代謝との関連が注目されているところから,生体の代謝動態に重要な意義をもつ非エステル型脂酸(NEFA)をisopropanol-KOHで処理した珪酸クロマトで抽出,ガスクロマトグラフィーを利用して測定した. NEFA構成の動静脈差および貯蔵脂肪との対比にて, NEFA各脂酸放出の機構に,選択性のあることが推定された.動硬者のNEFA濃度は,健常者に比し,必ずしも高値を示さず,その脂酸構成においてパルミチン酸,オレイン酸の増加,リノール酸の減少をみている.なお,糖尿病患者のNEFA構成も,動硬者に類似した成績を得,血管障害に関与する脂酸代謝異常に注意すべきものと考える.更に,飢餓,ヘパリン投与により, NEFA濃度が増すと,オレイン酸の増加,リノール酸の減少をみ,その変化は動硬者に明らかである.逆に,糖負荷でNEFAの減少,オレイン酸の減少は, 健常者に明瞭である. 以上,動脈硬化症における脂質代謝障害の一局面として,脂酸プールの代謝機構,細胞膜透過性に,健常者のそれと相異のあることが推定される.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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