放射性鉄を用いた鉄の吸収と貯蔵鉄の動態にかんする研究
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概要
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正常家兎に放射性鉄を経口投与し,鉄の吸収と吸収された鉄の生体における動態を追究した.経口的に投与された放射性鉄は3時間後および40時間後にピークをもつ二峰性の曲線を描いて血清中に出現し,投与鉄の腸管内通過状態と腸管壁における鉄の分布並びに動態を明らかにした結果,家兎の大腸から上部腸管に劣らず多量の鉄が吸収されることを確認した.さらに腸管内pHと鉄の荷電の関係を検討し,従来否定的であった下部腸管からの鉄吸収の可能性を推定した.一方,吸収された鉄の消化器粘膜非ヘミン鉄における動態を追究し,ヘモジデリンや易動鉄を介する鉄の吸収が主役を演ずることを明らかにするとともに, mucosal blockや鉄の吸収機構についても言及した.さらに吸収された鉄の血清,肝,脾,骨髄,腎などの主な鉄貯蔵臓器非ヘミン鉄における動態と造血臓器における動態をそれぞれ明らかにし,生体内鉄代謝の一端を解明した.
- 社団法人 日本内科学会の論文