膵障害時における消化吸収にかんする実験的並びに臨床的研究
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概要
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膵障害時の消化吸収機能を検索する目的で, Cr2O3標識法による消化吸収試験, 131I-oleic acid吸収試験を実施し,あわせて,実験的に小腸粘膜の組織学的,組織化学的検索を行なつた.消化吸収試験では急性・慢性膵障害犬.膵全摘犬のすべてに蛋白,脂肪の消化吸収障害が認められ,特膵全摘犬で著明であった.慢性膵炎患者では一部に蛋白,脂肪の消化吸収障害を認めた. 131I-oleic acid吸収試験では,急性膵障害犬,膵全摘犬で血中吸収率の低下と糞便内排泄率の増加を認め,慢性膵障害犬,慢性膵炎患者では正常範囲内にあつた.膵障害犬における小腸粘膜の組織学的変化は著明なものとは云い難いが,組織化学的には急性膵障害犬,膵全摘犬のすべてにal-P-ase, ATP-ase, SDH活性の低下が認められた.以上から急性膵障害時,膵全摘時には消化機能のみならず,吸収機能障害の存在が,また慢性膵障害時には消化機能障害の存在が推察される.
- 社団法人 日本内科学会の論文