イソクエン酸脱水素酵素の臨床的研究
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概要
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イソクエン酸脱水素酵素(ICD)はTPNを補酵素とする脱水素酵素であり肝細胞中の糸粒体に主として認められているが,著者は正常者および各種疾患々者血清中の本酵素活性値を測定した.またこれと並行してトランスアミナーゼ活性値,乳酸脱水素酵素活性値を測定し,各酵素の変動および相関につき觀察した.イソクエン酸脱水素酵素は他の酵素に比べ,肝疾患に特異的であり,特に急性肝炎黄疸前期に著明な活性値上昇を来たし,また肝性昏睡時に中等度の活性値の上昇を来たすことを認めた.慢性肝炎,肝硬変では正常乃至は正常値を多少上廻る活性値を示したが,閉塞性黄疸では一般に上昇は認められず,二次的に肝細胞障害を来たした例には活性値上昇が認められた.その他の疾患ではICD値は正常値を示した.メチルテストステロンおよびその誘導体を投与した際に血中トランスアミナーゼ,乳酸脱水素酵素,アルドラーゼ等の活性値の上昇することが認められているが,著者は臨床並びに動物実験について検討し,イソクエン酸脱水素酵素活性値の上昇することを認めた.
- 社団法人 日本内科学会の論文