各種高張液及びVasopressin注入によるOsmoreceptorの脳波的研究
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概要
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血液の滲透圧変化を感受し抗利尿ホルモンの分泌を調整するosmoreceptorを脳波的に究明するため,ウレタン麻酔下の家兎脳内に双極性深部電極を挿入し, vasopressinおよび各種高張液を静脈内に注入し脳波変化を追求した. vasopressin注入により2分30秒ないし4分の潜時をおいて扁桃核領域において13〜15c/sec.,振幅50〜150μVの特異な自発的発射波が現われ, 20秒程持続,さらに9〜12分の潜時をおいて前回と同様な波形の変化がくり返される.抗利尿ホルモンの分泌刺激となる高張食塩水,高張ブドウ糖液を注入しても, vasopressinの場合と同様の特異な波形変化が繰り返し出現する.しかし高張尿素液,生理的食塩水では変化は起こらないし,又,実際に抗利尿作用も認められない.これらの実験より血液滲透圧の増加により抗利尿ホルモンの分泌増加を来たし,さらに又抗利尿ホルモンを血中へ増加せしめるためにvasopressinを注入することにより,扁桃核領域に特異的な反復する脳波形の変化が起こる事実から,扁桃核が血液滲透圧変化並びに抗利尿ホルモン分泌機序に密接な関係を有することが判明した.
- 社団法人 日本内科学会の論文