胆汁リン脂質に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は胆汁リン脂質の量及びその組成を明らかにし,更にP32を用いて胆汁リン脂質の肝よりの分泌過程と,閉塞性黄疸時の高リン脂質血の成因の解明を目的とした.イヌ肝胆汁リン脂質濃度は血漿よりも遥かに高く数倍に及び,胆汁中に分泌されるリン脂質の1日量は,全血漿リン脂質の20%に達する.胆汁リン脂質のほとんどはレシチンで,セファリン及びフィンゴミエリンはモル比でそれぞれ数%及び1%以内であつた.従来閉塞性黄疸時に見られ高リン脂質血の成因に胆汁リン脂質は関与しないとされていたが,胆管閉塞後3日目に開放したイヌで,筋注したP32O4の胆汁及び血漿リン脂質へのとり込みを測定し,正常犬と比較することによつて,閉塞性黄疸時の高リン脂質血は,胆汁リン脂質の血中への逆流が大きな役割を果すことを証明した.
- 社団法人 日本内科学会の論文