肝障害時における高脂肪投与の影響
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概要
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著者は四塩化炭素障害マウスでガスクロマトグラフィーを用いて肝脂肪酸組成の変動を調べたが,急性期におけるバター大量投与群では特にC16およびC18脂肪酸の変動が少ない.脂肪酸酸化酵素活性の亢進も認められる.肝脂質分画においても,基準食群に比してその変動が概して少なかつた.慢性期における高脂肪投与群では肝内飽和脂酸組成を減少させる傾向がある.リノールサラダ油の大量投与群では,肝内リノール酸量の増加とオレイン酸組成の比較的減少をみた.又アラキドン酸組成の百分比も著明に増加し,結局リノール酸からアラキドン酸への転換は肝障害によつて殆ど影響を受けないことを認めた.更に慢性肝疾患患者に対して2〜4週間連日脂肪乳剤を経静脈性に,又リノール酸を経口的に投与した場合,悪影響は認められず,一部のものは肝機能所見の改善を示した.
- 社団法人 日本内科学会の論文