肝機能と亜鉛代謝の関係についての臨床的並びに実験的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
肝臓は亜鉛代謝に関係があると言われているが,なお不明な点が多い.私は各種肝疾患における血清Zn値と同時に実験的肝障害における血清,肝,尿中亜鉛を測定して検討した.肝疾患の血清Zn植は減少し,家兎の急性CCl4肝障害では血清Znの一過性増加につぐ減少,尿中ZN排濃量の増加,白鼠の急性CCl4肝障害では肝Zn量の減少を認めたので, これら亜鉛量の消長の関係を検索し,肝疾患乃至肝障害動物の血清Zn減少は血清Zn補給源である肝貯蔵亜鉛の枯渇と尿中排泄その他の処理能の亢進によることを明らかにし,同時に血清中における亜鉛と血清蛋白との結合状態について,透析,陽Ion交換樹脂による交換,煮沸除蛋白,三塩化醋酸除蛋白における態度から検討し,血清亜鉛は透析可能或は陽Ion交換樹脂で交換可能な型ではほとんど存在せず,煮沸除蛋白でもほとんど遊離せず,三塩化醋酸除蛋白で遊離することを認めた.
- 社団法人 日本内科学会の論文