甲状腺機能の内分秘的調節に関する実験的研究
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概要
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甲状腺機能は甲状腺刺激ホルモン(TSH)により体液性に調節されるといわれる.しかし甲状腺疾患は女性に多く特に思春期,妊娠,更年期等のホルモンアンバランスの状態にある年令に好発する傾向を認める.これは甲状腺機能がTSHのみならず他の諸ホルモンとの調和の上に営まれていることを意味する.著者はこの点に着目しWistar系純系雄ラッテを使用し各種ホルモン剤,抗甲状腺剤の投与,内分泌腺剔出等を行ない,甲状腺体重指数, 131I追跡実験,組織像,電顕像より綜合的に観察した. 133I追跡実験と電顕所見はよく一致し, TSHに対して各甲状腺濾胞上皮細胞は同一に反応せず, thyroxineはTSHのgrowth factor及びmetabolic factorの作用を甲状腺レベルで抑制する,蛋白同化ホルモンは一般に甲状腺機能亢進を示す傾向が認められた.甲状腺の内分泌機能は視床下部,下垂体前葉のみならず諸内分泌臓器との動的バランスによつて調節されるものと結論する.
- 社団法人 日本内科学会の論文