Anoxiaによる肺水種について : 第1編Anoxiaによる肺水種の発生機序について
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概要
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肺水腫の発生素因については幾多の研究者達により研究されて来たが,著者は低酸素による肺水腫発生機序を犬ならびに白鼠を用いて,迷走神経切断や輸液を行なつて低酸素ガス吸入時の影響を,血行力学的ならびに肉眼的さらに病理総織学的に追究した.低酸素負荷もしくは迷走神経切断では肺水腫の発生は認めないが,迷走神経切断に加うるに低酸素を負荷すると確実に肺水腫の発生を認める.しかし血行力学的な関與は乏しい.また生理的食塩水輸液による影響は明らかに血行力学的な関與のあることを認めるが,これに低酸素を負荷すると肺水腫発生はさらに増大する.このことから,低酸素によりまず肺毛細管の透過性が亢進して肺水腫の準備状態が形成され,迷走神経切断はこれを助長し,その結果,輸液によつて肺水腫の発生が容易になることを確認した.
- 社団法人 日本内科学会の論文