肝障害時における血中アンモニア及びケト酸の変動について
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概要
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著者は, (1)犬に四塩化炭素を投与して慢性肝障害を起こさしめ,血中アンモニア,乳酸,焦性ブドウ酸,クエン酸, α-ケトグルタール酸を測定した.この結果クエン酸以外の上記諸物質は徐々に増加し,クエン酸のみ一旦増加後減少する傾向を示した. (2)肝性昏睡患者の血中アンモニアと上記諸物質は著しい高値を示し,肝硬変症患者の大部分はこれらが正常範囲内にあつた.肝硬変症で週を追つてこれらの物質を測定すると症状の変動とほゞ平行して増減を示した. (3)肝障害犬に混合アミノ酸製剤を投与すると,血中アンモニアの増加,乳酸,焦性ブドウ酸の減少,クエン酸, α-ケトグルタール酸の一時増加後減少する傾向を認めた. (4)肝障害犬に対してアルギニン・グルタメートを投与し血中アンモニア及び上記諸物質の減少傾向を認めた. (5)以上の結果より高アンモニア血症を伴なう肝障害時には三炭酸回路の中で特にクエン酸, α-ケトグルタール酸代謝の障害があるものと予想された.
- 社団法人 日本内科学会の論文