癌屍おける粥状動脈硬化に関する研究
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概要
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浴風会における60才以上の老人屍713例について癌と粥状動脈硬化,脳血管性病変との関係につき検索した.癌屍では非癌屍に比して大動脈,冠動脈および脳動脈の粥状硬化の高度のものが少なく,また脳病変の頻度も低い.しかし癌の種類によつて一様でなく,肺・胆嚢・胆道癌では動脈硬化強度のものが多く,胃癌,肝癌などは逆にきわめて少ない.脳病変は肺癌,腸癌,胆嚢癌,胆道癌の順に頻度高く,胃癌,肝癌などで低率である.肺結核屍は肺癌と全く逆の態度を示す.肺転移の有無によつて大動脈硬化度には著明な差を認めない.最後に方法論に関する考察と肺癌の特異的態度に関する考察を行なつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文