結核菌のINH耐性と毒力に関する臨床的観察
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概要
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結核菌のINH耐性値の低下の原因を検討し, あわせて毒力と臨床経過の関係を検討することを目的とした. 入院中の長期非菌肺結核患者10例につき, おのおのから最もINH耐性度の低い株と10γ/ml耐性株とを分離し, カタラーゼ活性とモルモットに対する毒力を検した. 一方, 1日喀出生菌数と薬剤耐性の推移を治療経過に従つて観察した. 10γ/ml耐性株の大部分は毒力が低下していたが, 1例は強毒であつた. 低耐性株の毒力は±から+++にわたり種々であつた. 毒力と臨床経過との間にははっきりした相関は認められなかつた. 共存する菌株間の毒力の差は, 誘導気管支の器質的条件とともに, INH耐性低下の重要な因子の一つと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文