糞便lysozyme測定法に関する研究 : 特にアセトン処理菌体を基質とする新測定法
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概要
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lysozymeの定量法はこれまで種々考案されているが, いずれも手技が煩雜で日常臨床に應用するには多くの不便があり, 殊に糞便を被檢材料とする時にはその前処理法に既に困難な問題がある. 著者はこれらの不便な諸点を改良し, 從来の方法に比べて操作が簡便で, しかも臨床上充分用い得る測定値を示す定量法を考案した. 即ち, 糞便に1/10規定塩酸を加え, 之をほぼpH 6.6に修正し, その際析出する夾雜物を遠心によつて除去した上澄液を糞便抽出液として使用し, その抽出液中のlysozyme類似作用を示す物質が, lysozymeに一致する事及び抽出液中に残存する夾雜物が, lysozyme活性に影響しない事を檢定実驗により確認した. またアセトンで処理したMicrococcus lysodeikticusの菌体懸濁液を基質として用いる事により基質の作製法を簡易化し, これを基質とした時のlysozyme作用の至適條件に就いて種々の檢討を加え, 光電比色計による比濁測定法を應用してlysozymeを定量した.
- 社団法人 日本内科学会の論文