抗血液凝固剤の作用機序に関する研究
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概要
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Coumarin製剤及びHeparinの作用機序を究明する目的で, 多くの凝固因子を同時に測定した. Coumarin製剤が一部の凝固因子に及ぼす影響は知られているが, 凝固機序が益々複雜化した現在, 多くの凝固因子を同時に測定する事は極めて大切で, 特にThromboplastin生成に関與する因子に及ぼす影響に関しては未だ統一見解がない. 著者は独自の高稀釋法を考案し, Biggs等の原法で明瞭にし得なかつたPTC減少を明らかにし, 長期使用時には著明なPTCの減少, 全血凝固時間の延長を認めた. 抗凝固剤の長期使用は本邦ではなく, この点極めて有意義である. 又HeparinはCofactorの存在のもとで強力な抗Thrombin作用を示す事は知られているが, Thromboplastin生成に及ぼす影響に関しては不明の点が多かつた. 著者はHeparin靜注後の患者血清及び栓球によるThromboplastin生成障害を確認し, Antithrombin活性特に脱線維血漿Antithrombin活性の増加を認めた. この事も極めて興味ある所見である.
- 社団法人 日本内科学会の論文