各種疾患におけるI131標識脂肪吸収に関する研究
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概要
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I131標識オリーブ油を使用して各種疾患における吸收状態を觀察し, 併せて動物実驗をも行なつて脂肪吸收の一端をうかがつた. 臨床例では, 正常人は投與後4時間で血中放射能は最高値に達し, 4, 5, 6時間の血中放射能の和は50%である. 膵臓嚢腫, 幽門狭窄, 胃切除, 肝癌, 閉塞性黄疸では高度の吸收障害を示し, 慢性膵炎, 胃癌ではかなりの障害を認め, 胃十二指腸潰瘍, 肝硬変, 肝炎, 胆嚢症, 糖尿病, 大腸疾患では障害は軽度であつた. 動物実驗では, 正常犬は正常人と同様の吸收曲線を示し, 4, 5, 6時間の血中放射能の和は19.2%である. アロキサン糖尿犬では吸收正常で, 肝障害犬, 急性膵炎犬, 膵全摘犬の順に障害は高度であつた. 臓器放射能分布では, 全群共肝に最も多く, アロキサン糖尿犬は腸と脂肪組織に多く, 急性膵炎犬は膵臓に多く, 肝障害犬は腎, 肺に高率に放射能分布をみた. 本法は膵臓障害の診断に特異的ではないが, 膵疾患時に使用しうるものと思われる.
- 社団法人 日本内科学会の論文