脳の組織化学的研究 : 特に脳出血を中心として
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概要
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高血圧症,特に高血圧性腦出血症の腦における組織化学的変化を檢索することは,高血圧性腦出血の発生機序の解明に極めて重要な意義をもつものと思われる.著者は高血圧性腦出血で死亡せる患者の腦について対照例とその組織化学的変化を比較檢討し,あわせて人工的高血圧家兎を作り,その腦と正常血圧家兎のそれとを同様に検索した.又高血圧性腦出血による腦損傷と單なる外傷によるものとを比較する意味において人工的に家兎に外傷性腦損傷を起こし,その腦を組織化学的に檢索した.高血圧症の腦において神経間基質の中性ムコ多糖類に変化が認められ,その一部に神経細胞中の消耗性色素に関係のあるGlycolipidの顆粒に変化を示すものが見られた.腦出血例ではその出血巣及び周邊に著しい多糖類,類脂質,アルカリフォスファターゼ等の変化が認められた.実驗家兎においても大体同様な変化が見られたが,人工的腦損傷部における所見と人の高血圧性腦出血によるものとの間には,可成りの差異が認められた.
- 社団法人 日本内科学会の論文