潰瘍性大腸炎の病理学的研究 (第1編) 臨床症例における研究
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概要
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潰瘍性大腸炎の病理学的研究は,他の臨床的研究に比して遲滞しており,その病理観の確立が望まれていた.著者は,本症の手術および剖檢材料について病理組織学的研究をおこない,從来の所説に新知見を加え,本症の病理組織学的特性を明らかにした.すなわち,本症の炎症性変化は表層性かつ瀰漫性である.病変部位は下部大腸に高度で頻度が高い.潰瘍形成の初期病変は陰窩膿瘍のみならず数種の方式がある.炎の性質は主として滲出性であるが病期によつて相違がある.粘膜の修復は早期にかつ旺盛に營まれ,このさい基底膜が重要な役割を演じ,また基底膜の変化が強い.本症の假性ポリープの発生に三つの方式のあるなどを明らかにした.また,松永教授の分類による本症の第I型,第II型には病理組織学的に明確な相違があり,病因論的立場からも相異なる病型と考えられる.特に,第I型はアレルギー性起因が考慮される.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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