閉塞性黄疸における網内系機能並びに凝固線溶系機能の変化,特に黄疸軽減手術後の可逆性について
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概要
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雑種成犬を用い胆嚢摘除後総胆管を結紮切離して閉塞性黄疸を作成し,ついで総胆管十二指腸吻合を行って減黄をはかり網内系機能や凝固線溶系機能の変化を検索した.黄疸作成後3週目ですでに肝細胞機能は著しく低下するが網内系機能は3週目までは障害が軽度で,の後に急激に低下した.凝固線溶系機能は3週目までは著明に亢進したが4週目では低下した.一方黄疸作成後2週目まではこれらの機能障害は比較的軽度でこの時点で減黄術を行うとこれらはいずれも迅速に回復した.黄疸作成後3週目減黄群では肝細胞機能は順調に回復したが網内系機能や凝固線溶系機能の回復は遷延した.さらに黄疸作成後4週目減黄群ではこれらのいずれの機能の回復も著しく不良で全例早期に死亡した.以上黄疸持続期間が3週を過ぎると網内系機能や凝固線溶系機能の障害が進行し4週になるとこれらの障害は一層著明となって,この時期に減黄術を行っても回復せず非可逆的となった.