肝外閉塞性黄疸における肝微細構造の研究 : 特に減黄術後黄疸遷延例の検討
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概要
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減黄術後黄疸遷延例を中心として閉塞性黄疸における肝の微細構造の変化を定性的並びに定量的に検索して次のごとき結果を得た.黄疸遷延例では減黄効果良好例に比して肝細胞ミトコンドリア(Mt)の巨大化,数の増加,cristae膜面積の低下が著しく,毛細胆管の著しい拡張,微絨毛の著明な減少や短縮,及びbile canalicular microfilament (BCMF)の増生が認められた.特に肝疾患や胆管炎を合併した症例ではこれらの変化が著しく,さらにectoplasmの菲薄化やBCMFの減少も認められた.またKupffer星細胞は肥大し類洞を占居している像が認められた.<BR>以上の肝微細構造の変化からみて,肝細胞Mtの著しい変化がenergy産生を障害して肝細胞機能の低下をもたらし,これにKupffer星細胞の肥大による類洞の循環障害が加わって,減黄術後の回復を遷延せしめ,これらにさらに毛細胆管の障害が加わって黄疸を遷延せしめているものと考えられた.