著明な肝左葉萎縮をきたし神経線維の増生を認めた肝周囲炎の1剖検例
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概要
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肝周囲炎の剖検例で,著明に萎縮した肝左葉に神経線維の増生を認めたので報告する.症例は48歳の男性で,体重減少を主訴に来院した.一般検査成績では赤沈値の亢進と胆道系酵素の上昇を認めた.各種画像診断からは肝左葉の著明な萎縮が疑われ,脾腫大と食道静脈瘤も認めた.開腹したが,強固な癒着のため確診が得られず,2年後に食道静脈瘤により死亡した.剖検時,肝は直径約15cmの円球状で,その表面全体は幅1cmの線維組織に覆われ,胆嚢も萎縮し埋没していた.萎縮した肝左葉の表面境界部には,線維組織の中に肝細胞小集団が散在し,さらに無数の偽胆管とともに神経線維の増生を認め,neuromaの組織像を呈していた.なお,肝実質に肝硬変や肝線維症の所見はなく,著明な門脈圧亢進は線維組織による肝門部での門脈圧迫のためと考えられるが,肝周囲炎の成因の解明は困難であった.
著者
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