THFとGlucagon-insulin療法で効果を認めた劇症肝炎亜急性型の4歳男児の1例
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概要
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小児の劇症肝炎に対するTHF(森下製薬)投与及びglucagon-insulin療法の適応と方法は,未だ確立されたものはない.我々は上記療法により臨床効果を認め肝機能も正常化した劇症肝炎(亜急性型)の1小児例を経験した.患者は4歳9カ月の男児で発症1カ月後,上昇していたGOT, GPT等の急下降と黄疸の増悪,肝腫の縮少,プロトロンビン時間の延長,腹水及びII度の昏睡を来たし劇症肝炎亜急性型と診断された.脳波記録とアミノ酸分析を施行後直ちにTHFを点滴したところ,約30分で意識清明となり,脳波上徐波の消失を見た.その後,全アミノ酸レベルの上昇に対しては交換輸血を1回施行した.9回のTHF使用後より,黄疸の軽減と凝固系検査での改善が見られ始め,次いで,肝再生促進のため,glucagon-insulin療法を行ない,その適応はglucagon負荷テストで決めた.以後,患者は順調に軽快した.
著者
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村上 俊一
東京大学分院検査部病理
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村上 俊一
東京大学分院病理部
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柏木 万寿男
東京大学分院小児科
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柳川 幸重
東京大学分院小児科
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藤田 昌宏
東京大学分院小児科
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早川 浩
東京大学分院小児科
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衛藤 隆
東京大学小児科
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青山 弘
東京大学分院病理部
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