経口避妊薬(合成女性ホルモン)による肝癌発生の実験的研究特に肝過形成結節並びに肝細胞癌発生の経時的検索と薬剤投与中止の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
経口避妊薬投与による肝癌の発生を検索する目的で本研究を行った.生後4週齢Wistar/JCL雌ラットを用い合成女性ホルモンethynylestradiol 0.075mg及びnorethindroneacetate 6mgを0.5mlのolive oilに溶解して,これを硬性胃ゾンデにより強制的に連日経口投与し,2カ月毎に犠牲剖検して1年間にわたり肝病変を検索した.ホルモン投与後2カ月目ではperiportal areaの肝細胞にγ-GTP aseが誘導されるのみで過形成結節の発生はなく,4カ月目より全例の肝に過形成結節の発生を認め,以後投与期間の延長とともにその数及び面積が増加した.さらに8カ月目,10カ月目,12カ月目にそれぞれ1/10(10%),1/10(10%),1/18(5.6%)のラットに肝腫瘍の発生を認め組織学的にはいずれも高分化型肝細胞癌であった.また合成女性ホルモンを同様に1年間投与した後,投与を中止すると肝に発生した過形成結節は次第に消失した.以上より経口避妊薬は単独で肝癌を発生せしめ,かつそのinitiatorとなりうることが示された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
関連論文
- 示-148 膵頭部癌切除後早期肝転移例の臨床病理学的検討(第34回日本消化器外科学会総会)
- W-III-4 高度の凝固線溶系機能障害を伴った肝硬変合併肝癌に対する partial splenic embolization (PSE) の有用性と肝切除限界の拡大(第34回日本消化器外科学会総会)
- O-607 分子生物学的観点からみた膵胆管合流異常に対する術式の選択 : 胆管切除の是非について
- W-VI-6 消化器外科術後MOF発生例と endotoxin 血症(第36回日本消化器外科学会総会)
- W-VI-9 高齢者肝切除前後の栄養管理(第34回日本消化器外科学会総会)
- 98 悪性膵島細胞腫瘍の検討(第19回日本消化器外科学会総会)
- 81 急性胃粘膜病変 (AGML) の病態と治療 : 特に肝障害例における術後上部消化管出血の病態と対策(第34回日本消化器外科学会総会)
- 経口避妊薬(合成女性ホルモン)による肝癌発生の実験的研究特に肝過形成結節並びに肝細胞癌発生の経時的検索と薬剤投与中止の効果
- W4-7 進行肝癌治療法の選択 : 肝2区域以上占拠例並びに切除後再発例の対策(第32回日本消化器外科学会総会)
- W2-6 肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術の適応と意義(第30回日本消化器外科学会総会)