血中胆汁酸の肝疾患における臨床的意義と赤血球膜に及ぼす影響
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概要
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各種肝疾患247例につき,空腹時の血中総胆汁酸値(F-TBA)及びcholylglycine値(F-CG)を測定した.正常人のF-TBAは3.2±0.3μmol/l, F-CGは24.7±2.7μg/dlであった.F-TBA, F-CG共に肝障害が強くなるほど高値を示し,F-CGがF-TBAより(p<0.05)と鋭敏であった.300mg UDCA経口負荷試験で,正常人の負荷後最高血中胆汁酸値はM-TBA 20μmol/l以下,M-CG 50μg/dl以下であった.F-TBA, F-CG共に正常な軽度肝障害でも,M-TBA,M-CGは高値を示し,特にM-TBAはM-CGより(p<0.05)と鋭敏であった.肝硬変症ではM-TBAが70μmol/l, M-CGが300μg/dl以上を示すが,慢性肝炎では両者共にそれ以下を示すことが多い.故にM-TBA, M-CG測定は両者の鑑別にも有用と考えられた.<BR>血中胆汁酸の赤血球膜への影響を検討する為,赤血球形態の変化を走査電顕で観察した.胆汁酸濃度が上昇するにつれin vivo, in vitro共に形態変化は強くなり,一方LCAT活性は低下した.このため,血中胆汁酸は,濃度に応じて血中LCAT活性阻害作用を示し,赤血球形態にも変化を与える可能性が推察された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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