特異な肝外性発育型式を示した原発性嚢胞性肝平滑筋肉腫の1例
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概要
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患者は60歳女性で腹部膨満感を主訴に来院し,腹部超音波検査(以下US)およびCT scan(以下CT)にて肝内側区域の嚢胞(2.0×1.9cm)および心窩部より臍下部にわたる多房性嚢胞を腹腔内に指摘され,一部には充実性部分を有する隔壁の存在が確認された.さらに血管造影(以下AG)で腹腔動脈(CA),総肝動脈(CHA),胃十二指腸動脈(GDA)の腫瘍による著明な圧排像がみられたが,嚢胞穿刺吸引細胞診ではClassIIであった.諸検査で肝嚢胞および肝外性多房性嚢胞(悪性疑い)と診断し,嚢胞切除および肝部分切除術を施行したところ,病理学的診断は平滑筋肉腫であった.6ヵ月後腹腔内再発にて来院され,昭和63年7月治療の効果なく死亡された.肝外性に嚢胞形成を示す原発性肝平滑筋肉腫は本邦では報告例がないため貴重な症例と思われ,さらに平滑筋肉腫の発生学的問題にも示唆を与える症例であると考えられる.
著者
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柳 秀隆
久留米大学中検病理
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柳 秀隆
久留米大学第二病理
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西村 剛
福岡県済生会二日市病院
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田代 和弘
福岡県済生会二日市病院
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松元 隆明
福岡県済生会二日市病院
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平田 邦壽
福岡県済生会二日市病院
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大庭 聡
福岡県済生会二日市病院
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和田 八郎
福岡県済生会二日市病院
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副島 二郎
福岡県済生会二日市病院
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平山 八郎
福岡県済生会二日市病院
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