胆管分枝閉塞肝葉の再生能に関する実験的研究
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概要
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犬を用いて,肝の70%領域の胆管分枝を結紮し,結紮葉および非結紮葉の機能的ならびに形態的変化を検討し,さらに,これらに胆道再建を行うとともに,非結紮葉の門脈枝結紮や肝切除を行って,結紮葉の肝再生能やその限界を検討した.胆管結紮葉は12週以降に萎縮が著明となり,総織学的には,胆管結紮後4〜6週で軽度の胆汁うっ滞を示し,8〜12週では小葉改築傾向がみられたが,肝線維症の所見に留まっていた.これらに胆道再建と共に対側の肝切除を併施すると,胆管結紮後6週以内では手術に耐え,肝再生は良好であった.胆管結紮後8〜12週目では対側肝切除に耐えなかったが,対側の門脈枝結紮には耐えて,胆管再建側肝葉は良好な再生を示した.すなわち,胆管結紮葉は,胆管結紮後6週以内であれば良好な肝再生能を有しており,12週目でも門脈血流を増加させることによって,良好な肝再生が得られた.