肝広範切除兼肝動脈同時遮断の病態とCoenzyme Q<SUB>10</SUB>投与の効果
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概要
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正常犬の全肝動脈永久遮断では肝組織血流量が術前の50%以下に低下して肝広範壊死を発生し,肝障害が進行して肝不全死するものが多く,4週生存率は43.8%であったが,Coenzyme Q<SUB>10</SUB> (CoQ<SUB>10</SUB>)の投与により肝障害は軽減し4週生存率は77.8%と有意に向上した.70%肝切除に肝動脈遮断を加えると残存肝の血流量は約70%を維持し,肝壊死も術後早期には組織学的に認める程度であったが,1週以降に肝壊死が増大して肝不全死するものが少なくなく,4週生存率は55.6%と低率であった.これにCoQ<SUB>10</SUB>を投与すると肝の組織学的変化は改善し,肝障害は軽減して4週生存率は85.0%と有意に向上した.またCoQ<SUB>10</SUB>投与により肝動脈遮断後の肝組織中の過酸化脂質の増加やフリーラジカルスカベンジャーの減少は抑制され,術後早期に正常化した.すなわちCoQ<SUB>10</SUB>の投与は肝広範切除兼肝動脈永久遮断後の脂質過酸化反応を抑制し,残存肝機能障害を軽減すると共に肝壊死の進展を抑制して長期生存率の向上をもたらした.
著者
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